現在、国家公務員の職務発明等に対する補償金の支払に関しては、「国家公務員の職務発明等に対する補償金支払要領」(7特総第1141号。以下「支払要領」という。)、「国家公務員の職務発明等に対する補償金の請求手続及び支払方法」(7特総第1142号。以下「請求手続及び支払方法」という。)及び「国家公務員の職務発明等に対する実施補償金の支払に関する特例」(7特総第1143号。以下「特例」という。)に基づき実施しています。
このたび、登録補償金、実施補償金及び補償金支払限度額の変更に伴い、「支払要領」、「請求手続及び支払方法」及び「特例」を別添の通り制定することにしましたのでお知らせします。
貴省庁管下各部局、試験所及び研究所等に対し周知方お願いします。
国家公務員の職務発明等に対する補償金支払要領
8特総第869号
特許法(昭和34年法律第121号)第35条(実用新案法(昭和34年法律第123号)第11条第3項及び意匠法(昭和34年法律第125号)第15条第3項において準用する場合を含む。)の規定を実施するため、国家公務員の職務発明等に対する補償金支払要領を次のように定める。
平成8年5月11日
特許庁長官 清川 佑二
国家公務員の職務発明等に対する補償金支払要領
(定義)
第1条 この支払要領において、「職務発明」とは、国家公務員がした発明であって、その性質上当該発明をした国家公務員の所属する機関の所掌する業務範囲に属し、かつ、当該発明をするに至った行為が当該国家公務員の現在又は過去の職務に属する発明をいい、「発明者」とは職務発明をした国家公務員をいう。
(登録補償金の支払)
第2条 特許庁長官(当該特許を受ける権利又は特許権を特別会計が承継した場合においては、当該特別会計を管理する行政機関の長。第2項及び次条第1項において同じ。)は、国が職務発明に係る特許を受ける権利を承継してこれに基づく特許出願により特許権を取得し、又は国が職務発明に係る特許権を譲り受けた場合において、発明者から請求があったときは、当該発明者に対し予算の範囲内において、国が取得し又は譲り受けた特許権の次表の左欄に掲げる区分に応じ、同表の右欄に掲げる方法により算定した額の補償金を支払うものとする。
国が取得し又は譲り受けた特許権
補償金の額
特許法等の一部を改正する法律(昭和62年法律第27号)による改正前の特許法(以下「旧法」という。)に基づく出願に係る特許権
権利1件につき、4,500円に1発明(特許請求の範囲に記載された1発明をいう。)につき4,500円を加えた額
特許法等の一部を改正する法律(昭和62年法律第27号)による改正後の特許法(以下「新法」という。)に基づく出願に係る特許権
権利1件につき、7,500円に1請求項(特許請求の範囲に記載された1請求項をいう。)につき1,500円を加えた額
2 特許庁長官は、国が職務発明に係る特許を受ける権利を承継してこれに基づく外国における特許出願により特許権を取得し、又は国が職務発明に係る外国における特許権を譲り受けた場合において、発明者から請求があったときは、当該発明者に対し予算の範囲内において、国が取得し又は譲り受けた特許権の次表の左欄に掲げる区分に応じ、同表の右欄に掲げる方法により算定した額の補償金を支払うものとする。
国が取得し又は譲り受けた特許権
補償金の額
旧法に基づく出願をパリ条約による優先権主張の基礎とした外国における特許出願に係る特許権
権利1件につき、4,500円に1発明(パリ条約による優先権主張の基礎とした特許出願の特許請求の範囲に記載された1発明をいう。)につき4,500円を加えた額
新法に基づく出願をパリ条約による優先権主張の基礎とした外国における特許出願に係る特許権
権利1件につき、7,500円に1請求項(パリ条約による優先権主張の基礎とした特許出願の特許請求の範囲に記載された1請求項をいう。)につき1,500円を加えた額
特許法に基づく出願をパリ条約による優先権主張の基礎としていない外国における特許出願に係る特許権
権利1件につき、7,500円に1請求項(特許法に基づいて出願される場合において特許請求の範囲に記載されるべき1請求項をいう。)につき1,500円を加えた額
(実施補償金の支払)
第3条 特許庁長官は、国が職務発明に係る特許を受ける権利又は特許権を承継し、特許出願中の特許を受ける権利又は特許権の運用又は処分により収入を得た場合において、発明者から請求があったときは、当該発明者に対し予算の範囲内において、当該特許出願中の特許を受ける権利又は特許権の運用又は処分により毎年1月1日から12月31日までの間に国に納入された金額(以下「国の収入実績」という。)の次表の左欄に掲げる区分に応じ、同表の右欄に掲げる方法により算定した金額の範囲内で補償金を支払うものとする。
国の収入実績
補償金の額
50万円以下の金額
当該収入実績×100分の30
50万円を超える金額
(当該収入実績-50万円)×100分の20+15万円
100万円を超える金額
(当該収入実績-100万円)×100分の10+25万円
150万円を超える金額
(当該収入実績-150万円)×100分の5+30万円
2 前項の規定は、国が職務発明に係る国内における特許権の設定の登録後において、当該特許発明の実施により利益を得た場合で、特許庁長官が別に定める場合に準用する。この場合において、同項中「特許出願中の特許を受ける権利又は特許権の運用又は処分により収入を得た場合」とあるのは「特許権の設定の登録後における実施により利益を得た場合」と、「当該特許出願中の特許を受ける権利又は特許権の運用又は処分により毎年1月1日から12月31日までの間に国に納入された金額」とあるのは「当該特許権の設定の登録後における実施により毎年1月1日から12月31日までの間に国が得た利益の額」と、「国の収入実績」とあるのは「国の利益実績」と、「当該収入実績」とあるのは「当該利益実績」と読み替えるものとする。
(共同発明者に対する補償)
第4条 第2条及び第3条の規定において、当該補償金の支払を受ける権利を有する発明者が2名以上あるときは、補償金はそれぞれの持分に応じて支払うものとする。
(補償金請求権の承継人又は転退職者に対する補償)
第5条 第2条から第4条までの規定は、発明者の有する当該補償金の支払を受ける権利を承継した者から補償金の請求があった場合及び転退職した発明者から補償金の支払の請求があった場合に準用する。
(職務発明に準ずる発明への準用)
第6条 この支払要領は、国家公務員が職務発明に準ずる発明をした場合において、当該国家公務員の申出に基づき国が当該発明に係る特許を受ける権利又は特許権の承継を承認したときは、職務発明に準ずる発明に準用する。
(考案への準用)
第7条 この支払要領は、国家公務員がした考案に準用する。この場合において、第2条中「4,500円に一発明(特許請求の範囲に記載された一発明をいう。)につき4,500円を加えた額」とあり「4,500円に1発明(パリ条約による優先権主張の基礎とした特許出願の特許請求の範囲に記載された1発明をいう。)につき4,500円を加えた額」とあるのは「3,000円」と、「7,500円」とあるのは「2,500円」と、「1,500円」とあるのは「500円」と読み替えるものとする。
(意匠の創作への準用)
第8条 この支払要領は、国家公務員がした意匠の創作に準用する。この場合において、第2条中「国が取得し又は譲り受けた特許権の次表の左欄に掲げる区分に応じ、同表の右欄に掲げる方法により算定した額」とあるのは「権利1件につき3,000円」と読み替えるものとする。
(出願変更されたときの補償)
第9条 第2条の規定の適用に当たっては、出願中に特許出願が実用新案登録出願又は意匠登録出願に変更されたときはそれぞれ考案又は意匠の創作の例により、実用新案登録出願又は意匠登録出願が特許出願に変更されたときは発明の例による。
(補償金支払の限度額)
第10条 この支払要領の規定により支払われる補償金は、1人につき通算して年額600万円を超えないものとする。
附 則
1 この規程は、平成8年5月11日から施行する。
2 この規程は、平成8年1月1日以降にその請求原因が発生した登録補償金、実施補償金及び補償金の支払限度額について適用し、同日前にその請求原因が発生した登録補償金、実施補償金及び補償金の支払限度額については、たお従前の例による。
国家公務員の職務発明等に対する補償金の請求手続及び支払方法
8特総第870号
「国家公務員の職務発明等に対する補償金支払要領」(8特総第869号。以下「支払要領」という。)に基づき「国家公務員の職務発明等.に対する補償金の請求手続及び支払方法」(以下「請求手続及び支払方法」という。)を次のように定める。
平成8年5月11日
特許庁長官 清川 佑二
国家公務員の職務発明等に対する補償金の請求手続及び支払方法
(登録補償金の請求手続)
第1条 発明者は、登録補償金請求書(様式第1)を所属の行政機関の長に提出する。ただし、発明者が2名以上あった場合は、その持分に応じてそれぞれの発明者から登録補償金を請求するものとする
2 一般会計が特許を受ける権利又は特許権を承継した場合は、当該行政機関の長は、前項により提出された請求書に職務発明であること及び当該発明者の持分を証明し、登録補償金交付者表(様式第2)及び登録補償金交付者別一覧表(様式第3)を添付して、それぞれ2通ずつを毎年2月15日までに特許庁長官あてに提出する。
ただし、事務手続上請求不能の分は翌年度分とともに請求するものとする。
3 特別会計が特許を受ける権利又は特許権を承継した場合は、当該特別会計を管理する各行政機関の長は、機関ごとに、第1項により提出された請求書の写し、登録補償金交付者表(様式第2)及び登録補償金交付者別一覧表(様式第3)を特許庁長官に提出し、権利内容及び支払補償金額の確認を受けるものとする。ただし、提出期間については、前項の規定を準用する。
(実施補償金の請求手続)
第2条 発明者は、実施補償金請求書(様式第4)を所属の行政機関の長に提出する。ただし、発明者が2名以上あった場合は、その持分に応じてそれぞれの発明者から実施補償金を請求するものとする。
2 一般会計が特許を受ける権利又は特許権を承継した場合は、当該行政機関の長は、前項により提出された請求書に職務発明であること及び当該発明者の持分を証明し、国の収入を証明する書面(様式第5)、特許権の実施又は譲渡のための契約書の写し、実施補償金交付者表(様式第6)及び実施補償金交付者別一覧表(様式第7)を添付して、それぞれ2通ずつを毎年2月15日までに特許庁長官に提出するものとする。
上記実施補償金請求書は、毎年1月1日から12月31日までに特許権の実施又は譲渡のための契約により国に納入された1年間の金額に応じて(その算定方法は、「支払要領」第3条の定めるところによる。)、請求金額を記載のうえ請求するものとする。
3 特別会計が特許を受ける権利又は特許権を承継した場合は、当該特別会計を管理する各行政機関の長は、機関ごとに、第1項により提出された請求書の写し、国の収入を証明する書面(様式第5)、特許権の実施又は譲渡のための契約書の写し、実施補償金交付者表(様式第6)及び実施補償金交付者別一覧表(様式第7)を特許庁長官に提出し、権利内容及び支払補償金額の確認を受けるものとする。ただし、提出期間については、前項の規定を準用する。
4 第1項及び第2項の規定は、「支払要領」第3条第2項に基づく補償金の支払に準用する。この場合において、第1項中「実施補償金請求書(様式第4)」とあるのは「実施補償金請求書(様式第8)」と、第2項中「国の収入を証明する書面(様式第5)」とあるのは「国の利益を証明する書面(様式第9)」と、「特許権の実施又は譲渡のための契約書の写し」とあるのは「特許権の設定の登録後における国による実施を証明する書類の写し」と、「実施補償金交付者表(様式第6)」とあるのは「実施補償金交付者表(様式第10)」と、「特許権の実施又は譲渡のための契約により国に納入された1年間の金額」とあるのは「特許権の設定の登録後における実施により国が得た1年間の利益の額」と、それぞれ読み替えるものとする。
(補償金請求権の承継人又は転退職者による補償金の請求手続)
第3条 第1条及び第2条の規定は、発明者の有する補償金の支払を受ける権利を承継した者又は転退職した発明者から職務発明につき補償金の請求をする場合に準用する。
2 権利承継者が補償金を請求する場合には、これを証する書面(例えぼ戸籍抄本の写し)2通を添付し、様式第1、様式第4及び様式第の補償金請求書の「その他」の欄には請求に係る発明者及び承継理由(例えば「発明者死亡」)並びに続柄(例えば「発明者の妻」)を記載するものとする。
3 転退職者が補償金を請求する場合は、様式第1、様式第4及び様式第8の補償金請求書の「その他」の欄には国が職務発明を承継したときの職名と転退職した年月日を記載するものとする。
(職務発明に準ずる発明への準用)
第4条 この「請求手続及び支払方法」は、職務発明に準ずる発明であって当該発明をした国家公務員の申出に基づき国が当該発明に係る特許を受ける権利又は特許権の承継を承認した場合で、当該国家公務員が補償金を請求する場合に準用する。
(考案及び意匠の創作への準用)
第5条 この「請求手続及び支払方法」は、「支払要領」第7条及び第8条の規定により、考案者及び意匠の創作者が補償金を請求する場合に準用する。
(補償金の支払と通知)
第6条 特許庁長官は、特許を受ける権利又は特許権を一般会計が承継した場合において発明者から各行政機関の長を経由して登録補償金又は実施補償金の請求があったときは、各請求人あて補償金を支払い、各行政機関の長あてにその旨通知するものとする。
附 則
1 この規程は、平成8年5月11日から施行する。
2 「国家公務員の職務発明等に対する補償金の請求手続及び支払方法」(7特総第1142号)は廃止する。
(様式第5)A4
国 庫 納 入 証 明 書
1 発明者の氏名
2 発明の名称
3 特許番号又は出願番号
(権利取得国名又は出願国名を記入のこと。)
4 納 入 額
上記金額は納入済であることを証明する。
平成 年 月 日
歳入徴収官 印
(様式第9)A4
実 施 証 明 書
1 発明者の氏名
2 発明の名称
3 特許若しくは登録番号
※4 実施の種類
※5 利益の額及びその積算内訳
上記は施行済であり、金額は確定額であることを証明する。
平成 年 月 日
行政機関の長 印
※4 実施の種類欄には、製品、装置等の購入、製作等について名称をあげ具体的に記入すること。
※5 利益の額及びその内訳欄には、利益の額のほか、納入(生産)価格、実施料の率等を記入し、積算の根拠を明らかにすること。
国家公務員の職務発明等に対する実施補償金の支払に関する特例
8特総第871号
「国家公務員の職務発明等に対する実施補償金の支払に関する特例」を次のように定める。
平成8年5月11日
特許庁長官 清川 佑二
国家公務員の職務発明等に対する実施補償金の支払に関する特例
第1条 「国家公務員の職務発明等に対する補償金支払要領」(8特総第869号。以下「支払要領」という。)第3条第2項にいう「特許庁長官が別に定める場合」とは、国が当該特許発明(物の発明又は物を生産する方法の発明に限る。)の当該特許発明に係る特許権の設定の登録後の実施により物の生産において利益を得た場合とする。
第2条 前条に定める場合において、「支払要領」第3条第2項にいう利益の額は、国が自ら物を生産する場合は生産費用額に、国が第三者への委託により物を生産する場合は、当該第三者への支払対価額に、それぞれ2.7%及び「国有特許権実施契約書」(47特総第88号)三、実施料算定方法(以下「算定方法」という。)にいう利用率を乗ずることにより算定するものとする。ただし、所属の行政機関の長が特段の事情があると認めた場合は、「算定方法」にいう増減率を適用することができるものとする。
附 則
1 この規程は、平成8年5月11日から施行する。
2 「国家公務員の職務発明等に対する実施補償金の支払に関する特例」(7特総第1143号)は廃止する。
(参 考)
国有特許権の部内実施補償について
52.12.16
特許庁総務課
A.経緯
1.国が国家公務員のした職務発明に係る権利を承継した場合には、特許法第35条第3項の規程に基づき、国家公務員は相当の対価の支払を受ける権利を有することとされており、現在のところ、一般会計が権利を承継した分については特許庁で一元的に職務発明補償を実施している。特許庁で実施している現行職務発明補償は登録補償金及び実施補償金の二種に区別されており、前者は、国が発明者から特許権を譲り受けた場合または国が発明者から特許を受ける権利を譲り受け特許を受けた場合に支払われるものである。後者は、国が、発明者から譲り受けた特許権等の運用又は処分により現実に国が収入を得た場合にその収入額に応じて支払われるものである。
2.上記のように、実施補償金については、現在のところ、現実に国が収入を得た場合についてのみ支払うこととされているが、これについて従来から、現実に国が収入を得ない場合であっても当該特許等の実施により利益を得ていると認められる場合にあっては、特許法第35条第4項の規定の趣旨にかんがみ、発明者たる国家公務員は、相当の対価の支払を受ける権利を有するものであり、したがって、補償がなされるべきであるとの議論がなされている。
3.具体的には、昭和52年度予算要求において、防衛庁が防衛庁所管国有特許の部内実施補償費を要求した。防衛庁の場合でいう部内実施とは、防衛庁が当該特許を使用した装傭品を第三者に発注、製作させ購入する場合を指しており、この場合は、大審院昭和13年12月2日第2民事部判決が明らかにした要件を充足する場合にあたり、この場合、法律上は受注者が当該特許等を実施しているのではなく、発注者たる防衛庁自身が実施していると解されることになる。したがって、当然、防衛庁は実施料を徴収できず、現実には国に収入が入らないため、現行実施補償の対象とはなっていない。
4.しかしながら、特許法第35条第4項は、対価の額の決定の際に考慮するべきものとして「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」と規定しており、法律の文言上は、現実に収入を得た場合のみに限定していないと考えられること、また実質上も国の収入の有無により補償の有無を区別するのは必ずしも合理的とはいえないこと等により昭和52年度以降は、部内実施分についても一般会計が権利を承継した分については、特許庁において一元的に実施することとした。
B.部内実施補償の具体的考え方
1.部内実施の意義
部内実施とは、国が国家公務員である発明者のした職務発明に係る国内の特許権等を自ら実施することにより利益を得た場合をいう。
2.部内実施における利益部内実施における利益については、次のように考えることができる。国が仮に当該特許権等を保有していないとすれば、国は第三者の保有する当該特許権等を利用して生産された器具、機械等を購入することとなるが、この場合、理論的には、器具、機械等の購入価格には、特許権等の価値に相当する分が含まれているものである。したがって、逆に、国がその保有する特許権等に基づき自ら実施する場合には、この実施料分が節約されることとなるものと考えられ、この節約分に相当するものがいわば物の生産において当該職務発明により受けた利益として「部内実施における利益」にあたるものと考えられる。
3.利益の額の算定方法
上記のような「部内実施による利益」を実施補償金の算定にあたって考慮するについては、その利益を金額に算定することが必要となる。
利益の額の算定については、現段階においては、実際においては暫定的に次のような方法(特許権の価値を算定する方法として実施料率を用いる方法)をとらざるを得ないと考えられるが、なお今後検討を進めていくこととしている。
イ この場合の利益額の算定においては、理論的には、〔当該特許権の実施料を含めたと仮定した場合の理論的購入価格〕−〔実際の購入価格〕=〔利益額〕の式により算出されると考えられる。上式のうち、実施料を含めたと仮定した場合の理論的購入価格については、厳密には、原価計算の結果算出されるべきものであるとも考えられるが、便宜的には〔実際の購入価格〕×〔1+実施料率〕により算出される。この場合の実施料率としては、民間における実施料率を採用するのが適当であるとも考えられるが、国有特許の部外実施の場合との均衡を図る必要があること、上記算出において厳密な原価計算によらずに、便宜的算出方法を採用したこと等により、実施料率は、民間における実施料率より若干低いと考えられる国有特許権の実施料率に準じた率を用いることが妥当である。また、本来は当該発明により、実施料率も異なってくるものと考えられるが、上記のように価値評価が困難であるため、現在のところ原則としては、部内実施に係る特許権等については、上記実施料率も一律とせざるを得ないものと考えられる。
ロ 以上をまとめると
〔利益額〕=〔実際の購入価格〕×〔1+実施料率〕−〔実際の購入価格〕=〔実際の購入価格〕×〔実施料率〕となる。
これにより国有特許を使用した製品を第三者に請負製作せしめる場合の利益額の算定を行うことができるものと考えられる。
ハ なお、国有特許を使用した物を内部において製作する場合においても、以上に準じ利益額を算定することができる。この場合には、上記の式における実際の購入価格に対応するものとしては実際の生産費用(材料費、光熱水料、人件費等を加えた費用)又は、これに準じた方法により算出した費用を用いることが妥当である。
4.実施料の率
利益の額の算定にあたり適用する実施料の率については、国有特許権を実施許諾する場合の実施料の率(昭和50年及び51年における実績の平均)が約2.7%となっていることなどを勘案し便宜的に一律2.7%とし、さら・にこれに必要に応じ「国有特許権実施契約書」三、実施料算定方法に定める利用率を乗じたものとする。但し、特別の事情がある場合には同算定方法にいう増減率を適用することができるものとする。
C.その他
以上述べた措置は、あくまで暫定的なものであり、今後必要に応じて改善を計っていくこととしたい。本件に関し、疑問点等が生じた場合には、特許庁総務部総務課指導班管理普及係まで連絡されたい。